強化・強化子に関する感想、質問ーその3

 しばらく間が空いてしまいましたが、今日は強化・強化子に関する感想、質問の3番目について考えていきたいと思います。質問の内容としては、「強化子をあげなくなったら望ましい行動はなくなってしまうのでは?」というものでした。

 

 例えば、「5時までに帰宅すればシールを1枚貰えて、シールが10枚たまるとオマケ付きのお菓子を1つ買って貰える」と約束して貰えた子どもがいるとします。それまではお母さんが何度注意しても約束を守ることができない子どもでしたが、時間さえ守れば好きなシールが貰え、更に頑張れば欲しいオマケまで手に入ることが分かると、子どもは翌日から走って時間内に戻ってくるようになりました。お母さんは、子どもの単純さに少し呆れていましたが、子どもに望ましい行動が身についてきたことを喜び、自然と怒る回数も減っていきました。そして、子どもがオマケ付きのお菓子を3つ手にいれた頃(合計30回時間通りに帰宅できた頃)、お母さんは、そろそろシールをやめてみようと思いました。

 

 また、お母さんの中では、「ご褒美が無くなったらまた元に戻ってしまうのでは?」という強い不安もありましたが、その不安を抑えて、それとなく自然に「時間内に帰宅できたらシール」というルールを止めてみました。すると子どもは・・・まるでそれが習慣になったように翌日からも普通に時間内に戻ってくるようになりました。さて、なぜこのようなことが起こったのでしょうか?

 

 以前にお伝えしたように、「行動を増やす結果となるもの」を「強化子」と言います。上の例ですと、「シールやオマケ付きお菓子」が強化子に当たり、「時間内に帰宅する」という行動が強められています。では何故、強化子が無くなっても望ましい行動は維持されたのでしょうか?行動が維持される為にも、やはり強化子は必要です。ですから、この場合では、シールやオマケ付きのお菓子という強化子以外の「別の強化子」を子どもは手に入れたと考えることが自然だと思われます。

 

 では、子どもの望ましい行動を維持させている強化子は一体何でしょう?考えられることは幾つかありますが、最も大きなことは、「周囲の対応の変化」でした。少し分かり辛いかもしれませんが、この子どもは、帰宅時間を守れないことでいつもお母さんやお父さんから叱られて、結果として自信を失っていました。また、帰宅時間が遅くなることで、夕御飯もずれこみテレビが見られないなどの不都合もありました。ただ、時間を守って帰ってこれるようになると、お母さんやお父さんの対応も柔らかくなり、叱られる回数も減り、時には誉めてもらう場面もでてきました。その為、子どもは少しずつ自信を取り戻して、以前のように「自分はダメな奴だ」と思わなくて済むようになり、また時間を守れることで、テレビも見ることができるようになったのでした。

 

 つまり、「叱られないこと・自信を取り戻せたこと・テレビを見れること」がシールやオマケに代わって強化子となっていたのです。ここで大切なことは、「他の人に認めて貰うこと」が子どもにとってはとても大きな強化子になるということです。そして、「望ましい行動をすれば周囲(社会)が認めてくれる」という流れは、子どもが成長し社会で生きていくために本当に大切な方向性だと思われます。ですから、やや極端かもしれませんが、「シールやお菓子」などの強化子は、「社会的に認めて貰う」という大きな強化子を子どもに体験させる為の「きっかけ」と言えるかもしれませんし、実際にペアレントトレーニングをしていると、お母さん方から、「子どもは(モノなどの)強化子を貰うのを忘れているみたいです。でも望ましい行動は続いています。」と笑顔で教えて頂けることも多くあります。もちろん、全てが上手くいくという訳ではありませんが、子どもだけではなくお母さん方が自信を取り戻して頂けると、我々スタッフも本当に嬉しく、そのお母さんの変化も、私にとっては「ペアトレを続ける為の強化子になっている」と言えるかもしれません。

 

  

                                         北村 龍二

 

コメントをお書きください

コメント: 1
  • #1

    通りすがり (木曜日, 31 5月 2012 04:50)

    強化子と好子って何が違うんですか?